物価が上がっても下がっても
年金自動削減システム発動
「マクロ経済スライド」
初発動で年金実質削減
安倍内閣は4月からの年金支給額について物価や賃金の上昇よりも低く抑える「マクロ経済スライド」を初めて発動します。この制度は物価が3%上がれば年金も3%引き上げるというもので、小泉政権時に導入されましたが、長引くデフレ不況でこれまで発動されてきませんでした。
ところが安倍内閣はアベノミクスによって物価が上昇したとして初めて発動。しかも実質の物価上昇率は2・7%なのに「調整率」なるものを用いて0・9%の引き上げにとどめています。
恒久的に年金を削減していく事が可能になる
保険料を負担する労働人口の減少と、平均余命の伸びに併せて設定されたのが「調整率」です。物価、賃金上昇率から「調整率」を引いた分しか年金を上げない仕組みで、いわば「年金自動削減システム」です。
しかも、この制度は物価が下落するもとでは「名目年金額そのものは引き下げない」(坂口厚労相・2004年国会答弁)という実行しない「歯止め」があったのですが、それもなくし賃金や物価がさがっても年金額を引き下げる事を可能にしています。例えば物価が0・5%下がった場合、調整率を1%にされたら年金額が1・5%下がることになります。
安倍内閣は現在でも過去の物価下落時に年金を下げてこなかったとして、15年4月分まで3度にわたり2・5%の削減を実施していますが、この上「マクロ経済スライド」を改悪すれば物価があがっても年金はほとんど上がらないか下がることにもなり深刻な打撃となります。
「年金のために使う」消費税増税は何のためだったのか?
消費税8%増税のとき、政府がその根拠としてもっとも力を入れたのが「消費税増税分は年金制度の安定化に使います」でした。
ですが、これは年金のためにあてられていた既存の他の財源(所得税や法人税)を増税を機に消費税に移し替えただけの話です。この「国家的詐欺」の実態が増税実施1年で早くも顕著に表れています。
1月22日・31日しんぶんあかはた記事より作成