大飯原発再稼働「電力不足」政府試算に根拠なし
政府やマスメディアは、関西電力管内で今年の夏のピーク時に電力不足に陥るから大飯原発の再稼働が必要と盛んに宣伝しています。
4月13日に大飯原発再稼働を決めた閣僚会合の試算では、猛暑だった2010年夏の需要(3095万キロワット)なら約2割(570万キロワット)電力が不足するとしました。
需要値は過大に、供給は過小に
政府のこの試算は、猛暑だった上2010年の真夏の日の昼の1~2時間の数値をわざわざ持ち出しておきながら、昨年東京電力管内で行われた18%の節電実績を一切考慮していません。つまり需要の値は最大のものを持ち出していながら、供給の値は過小なもので計算をしているのです。仮に関西電力で東電のような節電を行った場合、供給力は2631万キロワットに対しピーク時の需要は2538万キロワット、よほどの猛暑でなければ電気不足は起こりえません。
再稼働しなくても電気は足りている
こうした非現実的な数値の試算に対し、専門家からは厳しい批判が起こっています。右の表は気候ネットワークの試算によるものですが、原発なしでも節電を実施すれば十分カバーできるものであり、しかも隣接する中国電力や中部電力は電気が余っており、そちらから融通してもらえる電力が800万キロワット存在しているので、まったく大丈夫だとしています。
なぜ再稼働を急ぐのか?全原発停止という事態を防ぎたいから…
こんな無理までして、なぜ大飯原発再稼働をしたいのか。それは5月5日に北海道の泊原発が点検のために停止すれば、日本の全原発が停止するという事態になるのを防ぎたいからです。
次項で触れますが、今全部の原発を止めても電気は足りています。政府はその事実を国民に知られたくないので、なんとか稼働している原発を確保したい、その矛先が大飯原発に向けられたのです。
政治がやるべきことは何か?
福島の事故で国民の原発に対する信頼は地に堕ちました。世論調査でも脱原発を求める声が8割から9割になります。
政治がやるべきことは、こうした世論に応える政策を国民に示す事です。ドイツのように期限を定めて原発を全てなくし、それになりかわる再生可能自然エネルギーを国策として開発していく事。なのに日本政府は世界史上最悪の事故を起こしていながら、尚も再稼働に固執している姿は異常です。
2012/5/21