厚生年金70歳以上義務化の一方で
“溶けた年金”15兆円
年金だけでは暮らせないから働く
厚労省は会社員が加入している厚生年金保険料の納付義務を現行の70歳未満から70歳以上に引き上げる検討に入った…日本経済新聞の衝撃的な記事です(4月16日)
すでに公的年金制度は受給開始や納付期間の年齢がどんどん引き上げられる一方、将来、きちんと受け取れるのかも分からなくなっています。「70歳以上の保険料納付の義務化」は、安倍首相が議長を務める「未来投資会議」で打ち出されたものです。日経の記事は、就業中の高齢者の4割は「働けるうちはいつまでも」と答えているとし「長生きに備えて健康のうちは働く高齢者にメリットは大きい」解説していますが、本音は「年金だけで暮らせないから働く」のではないでしょうか。
15兆円損失で会計検査院が異例の警鐘
あの手この手で年金制度を抱える要員を増やそうとしていますが、安倍政権は一方で国民の年金保険料が原資の公的年金積立金を株に投資して大損を出しています。
2014年10月アベノミクスの株価上昇演出の為、150兆円もの巨額資産を抱える年金積立金を、リスクの高い外国株を含め全体の50%を運用できるようにしました。
その結果、2018年10月~12月の運用実績は14兆8千億円の赤字、全体資産の1割がわずか4半紀で吹っ飛んでしまいました。
“溶けた年金”批判を恐れる官邸は、「15兆円の赤字を出しても累積収益額は56兆円のプラス」と火消しに躍起ですが、それは市場運用を始めた01年からの累積で、安倍政権が基準を変更した14年以降の累計収益は約15兆円です。このまま株価2万円割れが続けば、15兆円なんてあっという間に吹っ飛んでしまいます。
会計検査院は「年金は老後生活設計の柱。積立金は国民から徴収した保険料の一部。国民の利益のため安全、効率的に運用し、将来にわたって公的年金制度の安定に資する事が強く求められる」と指摘しています(4月24日)