それでも法人税を下げるのか PART2
トヨタだけで1342億円減税
大企業のみに適用できる政策減税が88項目も
安倍政権は日本の法人実効税率は他国より高いと言って15年度から3年間かけて引き下げるとしています。
これに対し、マルサの博士、税務の大御所と言われ、「税金を払わない大企業」(文春新書)の著者の富岡正雄中央大教授は、三菱住友などの巨大企業は利益に対して0・001%の法人税しか払っていない。それは実効税率(34%)以外に、大企業のみに適用できる政策減税が88項目もあり、その恩恵を受けているので、資本金100億円を超える企業の平均負担率は17%でしかないことをお知らせしました。
政策減税の代表である「研究開発減税」の大恩恵
88項目ある政策減税(租税特別措置法)のうち、試験研究費に対して税額が控除されるのが研究開発税制です。これは、基本的に製品を開発する大企業しか適用を受けられず、商品を販売する下請けなどの中小企業は全く対象になりません。
富岡教授の試算によると、トヨタはその恩恵を1342億円も受けており、次いで日産自動車、武田薬品、デンソー、キャノンと続きます。控除税額が10億円を超える企業だけの総数は全国で30社、10位以下もNTTドコモ(12位・65億)日野自動車(14位・64億)東芝(25位・34億)など、いずれも日本を代表する大企業ばかりが占めています。
大儲けしながら正規の税金を払っていない大企業になぜまた減税をするのか
問題は、安倍政権が「日本の法人税は他国より高すぎる」といって税率だけを根拠に現行の34・62%から来年度には31%に、さらに将来20%台に引き下げを主張し、巨大企業の実行税負担率の平均はこれらの優遇制度によって法定の34・62%の半分以下である実態を全く覆い隠している事です。しかも、減収分の代替財源は消費税の増税によって国民負担を求めるとしています。
富岡教授は「巨額の財政赤字を抱える中、大儲けしながら国に税金を払っていないグローバル企業の減税をなぜするのか。法人税の欠陥を正すのが先だ」と反対の論陣を張っています。(週刊金曜日、3月27日号より作成)