シリーズ消費税その8
EU諸国並みに消費税を上げても暮らしはよくならない
ドイツ19%、スゥエーデン25%、イギリス17%…だからヨーロッパの社会保障は充実している、日本も消費税を上げるべきだ。増税論者の一つにこういう事を言う人がいます。
たしかに、税率だけをみると日本は低いですが、欧州諸国の付加価値税(消費税とは言いません)は食料品や新聞、書籍、子供の服などの日常生活用品はゼロ税率か軽減税率が適用されていて、ほとんどすべての買い物に課税される日本の消費税とは根本的に税の性質が違います。
大根からダイヤモンドまで課税される日本の消費税と、日常生活品は非課税のEUの消費税
左の表は、各国の消費税(付加価値税)の率と、非課税や軽減税率対象品、そして消費支出に占める消費税の課税割合一覧表です。
日本は、食料品を含めほとんどが課税対象となっているので、買い物のうち89%が課税対象ですが、EU諸国は52%~70%程度、税率以上に日本国民は「消費税漬け」状態にされているのです。こんな根本的な違いがあるのに、ただ税率だけを見て「消費税をEU諸国並みに上げろ」というのは前提段階から間違っています。
税率は低くても、国税収入に占める消費税の割合はEU諸国並み
そして、この表は、国税に占める消費税の各国の割合です。日本は5%(国は4%・地方1%)ですが、他の20%諸国と比べても国税に占める割合は同程度、5%でありながら20%諸国と同じ消費税を納めている、税率以上に国民は消費税を負担しているのが実態です。
こんな状況でさらに20%や25%にされたら、どれだけ負担増となるのでしょう。EU諸国が社会福祉が充実しているのは、社会福祉財源を消費税以外の分野(事業主負担)からもしっかりと徴収しているからで、税率が高いからではありません。 2012/7/2