2011年6月議会一般質問の内容です。
標題1 住宅耐震制度の拡充と新設で耐震率の向上を
先の大震災で亡くなられた方のご冥福をお祈りすると同時に、今なお不自由な生活を余儀なくされている被災地の方が一日も早くもとの生活に復興するよう願う次第です。
今議会は、震災後初の議会でもあり、多くの議員がそれぞれの立場で災害対策について質問をしますが、私はその中でもかねてよりの懸案事項でもあります住宅耐震について制度の拡充と新設を求めるものであります。
今回の震災は、津波による被害が大きかったが、阪神淡路大震災では住宅の崩壊による死者が多かったのは記憶にあたらしい所です。
巨大地震が今後30年間、87%の確率で想定されている東海地震は明日起きてもおかしくありません。市では公共施設の耐震を重点戦略の一つに据えて着実に実施していますが、阪神大震災は人間が住宅にいる夜間に発生しました。地震は時を選びません。住宅の耐震工事を進めるのは公共施設の耐震化と同等、もしくはそれ以上に急務であると思います。本市の取組みを伺いたい。
Q:木造住宅耐震向上のために行われている所有者に対する工事費一部補助制度は、現在県の補助が30万円、市の補助が10万円の合計40万円、これは住宅の工事費が少なくとも100万円以上はかかる実態からみて少なすぎる額ではないか。更なる拡充が必要と考えるがいかがか。
A:昨年度国の緊急経済対策で一戸あたり30万円の上乗せ助成があり、本市ではいち早く取り入れた。今後国県の補助制度を活用することが重要であり、制度拡充に向けて国県に働きかける。
Q:震災前他議員が同じ質問をしているが、当時の答弁とかわりがない。助成額の上乗せが市民のニーズであり、市民の防災意識が一番強いこの時期にこそ、市独自の制度で一時的にでも上乗せをするべきではないか。
A:工事にかかれるための助成の条件の見直しなど、他の観点から市独自の耐震助成が出来るか検討をする。
Q:先の議会で、私が導入を求めた住宅リフォーム助成制度は、耐震と密接に絡み合う制度である。当時の主な答弁は、個人資産に補助を行うのは適正かどうかまだ言えないという事であったが、その後東日本大震災が発生し、市民の地震への関心は飛躍的に高まり、木造住宅だけでなく新築住宅についての耐震対策に対する状況も明らかに変わってきている。
いま、この時期にこそ一早い導入に向けて再検討をし、住宅の安全性の向上を図り行政として市民の命を守る施策を積極的に講じるべきであると考えるがいかがか。
A:国のエコポイント制度や県の県産材利用制度があるが、新たなリフォーム助成制度の導入については、大震災後の情勢を踏まえて検討する。
標題2 受けやすく、かつ自立しやすい生活保護制度
朝日新聞1月22日付記事によると、全国で生活保護費が3兆円を超え、保護世帯が141万世帯と過去最多となったとある。
特徴として、普通に年金をもらっているだけでは生活できない高齢者世帯の増加や母子家庭など、社会福祉策の貧困の影響を受ける階層の増加もあるが、最近の特徴として障害や病気もなく稼働能力がある世帯の倍増などもあげられる。
本市の状況も経年的にみれば保護世帯数は急増。
過去10年間の年度別、平均被保護世帯数を時系列でみると、平成13年から平成19年までは概ね1年間で5~8世帯の増加であるが、平成20年から平成21年の1年間で168世帯から217世帯と一気に50世帯も増えている。
さらに直近のデータである平成21年度の月別被保護世帯数を見ると、21年4月は194世帯だが、1年後の22年3月では234世帯、約40世帯の増加と、急増状況は依然続いており、県内の他市の状況も同じ傾向である。
今後も、最後のセーフティネットとして生活保護は重要である。生活保護を受けやすく、そして生活保護から自立しやすい取組みを求めるものとして下記の点で伺う。
Q:生活保護は、保護の可否に関わらず申請の申出があれば誰しも申請をする権利は保障されている。窓口に来た市民に対してこの権利を明確にし、受けやすい生活保護にするべきと考えるがいかがか。
A:相談者の状況を把握したうえで、他法他施策の活用等の助言をすると共に生活保護制度の説明を十分に行い申請の意思を確認している。
窓口に来た要件が生活保護の申請かどうかはお話を伺わないと判断できない。その為面談を行い、状況を把握したうえで申請に対し十分な説明をしているので保護申請の権利は守られている。
Q:制度の説明の後、申請の意思を確認しているのか?
A:そう対応している。
Q:生活保護のしおりを用いて説明をしているのか?
A:しおりを含めて説明している。
Q:生活保護のしおりは、その1ページに保護申請をする前にとあり、働ける人は働く、扶養義務家族がいる人は家族で相談する、財産を処分する等々、本人に努力するように書かれている。こういった文書での説明が先だと、相談者と窓口の間で誤解が生じ、申請をせずに諦めてしまうケースもあると思うがいかがか。
A:制度の中身を知らない人も多いなかで、担当者は十分に意識し疑念を抱かないように対応をしている。
Q:相談者はわらをもすがる思いでやってくる。説明の前に、申請書に記入するところから始める。相談者の立場に立ったやり方を行うべきだ。磐田市などではそうしている。
A:複雑な制度であり、充分話を聞いてから申請の意思を確認する現行方法で問題はない。
Q:本市で行われている保護受給者に対する自立支援策の内容について、どういう方法で行われているか。伺う。
A:就労支援員による求職活動など行っている。
Q:自立=就労では、現在の雇用状況でハードルが高い。本人の自発意識によるボランティアの参加を促すなどの社会的自立から就労に結び付ける制度が必要ではないか。
A:個別対応を継続する中で、調査する。
標題3、就学援助制度の更なる拡充を求めて
子供の貧困が広がる中で、就学援助制度は今後もますます重要性が増してくると思われる。
義務教育は無償と憲法では定められているが、実際には教材費その他で小学生一人当たり概ね年間8万円から11万円もの様々な費用が必要とされている。
そうした現状があるにもかかわらず、国は準要保護者にたいする国庫補助を2004年に廃止、その影響で全国的に制度の後退が進んでいる。
その中で、本市の予算書をひも解いてみると、就学援助費は小中併せて当初予算で平成21年度は4970万、22年5400万、23年6300万と純増であり、この取り組みは評価できるものと思う。
しかし、この数値は、それだけ貧困に陥る世帯が増えている反映でもあり、そうした市民の声を今後も着実に施策に反映させていくのが住民の暮らしを守る自治体としての責務だと考える。
本市の現状を伺うと同時に今後の問題点について 以下の項目で伺う。
Q:準要保護者基準内容のうち、生活状態が悪い世帯の基準が具体的に社会保険料等控除後の世帯収入額が生活保護基準の1・5倍以下とあるが、今後この基準を維持していくかどうか、伺う。
A:現在の基準を維持していく。
Q:準要保護者の基準内容が明確に定められているが、該当者でも申請漏れがあるかどうか把握しているか、伺う。
A:入学説明会時、給食費等未納が重なった時に説明をしているので漏れはない。
Q:それでは徹底と言えない。江東区や板橋区では、援助の可否に関わらず保護者全員から申請書を回収している。こういう取組みをするべきではないか。
A:藤枝では該当児童が少なく、事務の問題もある。
Q:生活保護を受けられる状況なのに、受けられていない世帯が多い。就学援助はそういう世帯を救済する制度であり、更なる拡充をするべきではないか。
A:現行の1・5倍を堅持する中で対応していきたい。
Q:国庫補助が廃止される中で、支給項目の後退・所得額の引き下げをしなかった本市の取組みは大いに評価するべきである。市民の要望もある中、国に対して市からも国庫補助を復活するように要求する態度が必要ではないか
A:制度充実を求める要望を行っていく。
振り返って…
住宅リフォーム制度については、2月議会時は「個人資産に税を投与するのは、まだ適当かどうか言えない」の答弁でしたが、はるかに前向きな答弁が出てきたと感じています。
また、就学援助では、生活保護基準1・5倍を今後も維持すると明言したことは評価できると感じています。
その一方で、生活保護については、申請時の手続きでは認識に差があります。窓口に来る人は、申請をする意思があるからこそ窓口に来るのであり、最後の砦といった思いも併せ持ってきています。
そういう相談者の立場に立って、袋井や磐田で行っているような、制度の説明からではなくて申請書を書くところから始めるべきです。
議事の録音を聞きなおして改めて感じたのですが、就学援助や生活保護のところで再三、「藤枝市は他市と比べて、生活保護者・就学援助者が少ない」といった答弁が出てきます。
これが喜ばしいことかどうか、市側は藤枝市はまだそれほど深刻な状況にある人は少ないと言いたいのでしょうが、裏返してみれば、制度を活用しきれていない面もあるのではないでしょうか?
福祉は、地方自治体に与えられている最大の責務です。今後も更なる制度の拡充・新設に向けて、提案を続けていきたいと思います。皆さまからも、こういう制度があればいい、もしくは、この制度のここを変えてもらいたいといったご意見があれば、是非お寄せください。