「ゲリラ豪雨に対する高洲地区水路対策」
問:突発的で局地的大雨や雷をもたらす“ゲリラ豪雨”が今年も発生し、市民に被害をもたらしています。
藤枝市でも7月17日の夜から18日の明け方にかけて、2度にわたり大雨洪水警報が発令され、総雨量は市役所で200ミリ超、時間雨量は青島南公民館で最大75ミリを観測しました。
昭和49年に静岡で発生した七夕豪雨の際の時間最大雨量は84ミリですから、ほぼこれに匹敵するほどの土砂降りです。この豪雨で河川の氾濫や道路の冠水などの被害が出るだけでなく、高洲をはじめ市内各地にある水路が氾濫し、床下浸水の被害が出ています。
“ゲリラ豪雨”は近年になって大きな問題になっています。かつては考えられなかった雨量を伴う激しい雨が突然襲う事は、これまで数年に一度でしたが昨今は毎年発生しているのです。今年の猛暑は海面温度が高温だったからであり、それによりこれから秋にかけて発生する台風の勢力が強力に成る事も言われております。
17日の豪雨の被害について、私も高洲の住民の方にお話を伺いに行きました。なかには排水ポンプを設置したり、石垣に穴をあけて敷地内に水がたまるのを少しでも防ぐなど、自衛で対策をとっているお宅もありました。毎年のように発生する床下まで水につかる被害に対し、住民の方は口々に不安を訴えています。市民の命を守るべき市の対策はどうなっているでしょうか。
民間気象情報会社「ウエザーニュース」によると、ゲリラ豪雨の発生回数が、全国で昨年の2・7倍(724回)に上っています。今後も発生する事が大いに考えられますが、7月17日の豪雨程度の雨量で市内各地どの程度の浸水になるかの把握は出来ているでしょうか。
答:今回の豪雨では、市内南部地域において床下浸水や道路冠水が発生しましたが、北部の山間地域では南部地域に比べ、総雨量、時間最大雨量ともに概ね半分から2割程度で被害等の発生はありませんでした。浸水被害が発生する要因として、降雨の場所、降雨量、及び下流域河川の流化状況、農業用水路の管理状況が大きく影響し、同規模の降雨が観測されたとしても、市内各所に同様の浸水被害が毎回発生するとは限らず、その把握は大変難しいものと考えています。
このため、降雨量からの浸水被害予測は難しい状況でありますが、本市は今年度から新たに民間気象会社より、過去の雨量と被害履歴から作成した水防体制指標の提供を受け、近年多発するゲリラ豪雨に対しても、いち早く本市に特化した情報を得ることで、より迅速な対応が出来るように努めております。
問:現在、市内水路による水害常襲地帯(過去に水害の被害がありながら河川改修がされていない所)が何カ所あり、それに対する解決方法があるでしょうか。
答:過去の水害実態調査の結果を基に、今後も、建物の床下・床上浸水や大規模な道路冠水の発生の恐れがある箇所として、高洲地区、青島地区、藤枝地区、葉梨地区、及び広幡地区の一部地域の計14カ所を把握しております。その対応方法につきましては、排水不良個所では排水ポンプ等を設置し、被害の軽減に努めているところであり、昨今の集中豪雨による雨量増加や、市街化の進展に伴う流出量増加により一時的に流化能力が不足する河川につきましては、今後も引き続き河川改修の促進や局部改良に努めてまいります。
問:高洲の兵太夫中地区の水路の氾濫については、地元の要望も強い。抜本的な対策工事となる下流部からの順次工事でこの地区の氾濫が改良するのは何年後か。
答:河川改修の根本的な改修となる黒石川本流工事は今年度から始まり、何年度とは言えない。中期的に上流部の雨水を調整する調整池の設置の研究をしていかなければならない。
県営事業であり、こちらからお願いする立場だが、試算すると30年かかる。期成同盟会長である藤枝市長として、県や中部地方整備局に真剣にお願いしていく。
問:毎年のように水害に悩んでいる地区の人にとって30年はとても待てない。複雑な水路構造となっている当該箇所の解決には、排水機能を持った調整池設置をすべきではないか。
答:調整池の必要性は十分認識している。設置場所、容量等総合的に今後研究する。
「岐路に立つ生活保護、市はどう向き合う」
問:有名芸能人の親が生活保護を受給していた問題に端を発した異常なバッシングで“最後の砦”である生活保護が重大な局面になっています。
憲法25条にある「生存権」に準拠している生活保護制度は、国民誰もが無差別平等に受ける権利を有し、国は国民誰もが最低限度の生活を送れるよう保障する責任を負っています。
にもかかわらず国は、相次ぐ労働規制の緩和で働く貧困層を拡大、中小業者への支援の打ち切り、社会保障の負担増と給付減を行い、国民の多くが生活保護に陥る状態を作っておきながら、たった1%にも満たない不正受給を殊更強調して、この8月から保護費の支給額を減額。3年間で平均6・5%、最大で10%の保護費を削ろうとしています。
また、先の国会では廃案になりましたが、扶養義務の調査の明文化、提出書類の厳格化などで、生活保護を受けられないような仕組みを作る法案を秋の臨時国会で提案しようとしています。
戦後、半世紀以上にわたって国民の生存権を保障してきた生活保護制度が今、重大な岐路にたっています。国が決める事とは言え、住民福祉の機関でもあり生活保護の実施機関でもある藤枝市は、この局面でどのように対応していくのでしょうか。
憲法25条で定める「最低限度の生活」とは生活保護法では「健康で文化的な生活水準を維持する事ができるものでなければならない」とされています。
今年度から3年かけて行われる保護費(生活扶助)の削減によって、本市に住む育ちざかりの中学生2人を持つ40代夫婦4人家族の場合、月額17万余が3年後には15万を切る。60代の夫婦でも、月額約9万8千円が8万4千円となります。これで「健康で文化的な生活水準」と言えると考えていらっしゃいますか?
答:生活保護は国において平成21年全国消費者実態調査をもとに生活扶助と低所得者を比較、さらに全会見直し以降の物価の動向を反映するなど十分に検討されたものであります。生活保護法第3条に「法で保障される最低限度の生活は健康で文化的な生活水準を維持出来るものでなければならない」と規定されているので、当然に法の理念は遵守されます
問:生活保護基準引き下げの根拠は、生活保護基準が一般低所得者の消費支出よりも高いからというものであるが、充分に検討されたものではない。2009年の全国消費実態調査は、生活保護世帯の消費支出に実際は生活保護世帯への扶助対象となる住宅費と医療費を消費出として算出しており、実態と合ったものではない。更に物価の動向を見て引き下げられているが、生活保護世帯がほとんど恩恵を受ける事のないテレビやパソコンなど電化製品21品目の値下げを主な根拠としており、検討部会で計られてもいない後から付け加えられた項目である。世の中はむしろ今は値上げではないか。これで十分検討されたと言えるか。
答:今回の見直しは一昨年の社会保障と税の一体改革大綱を契機にして、その後国の担当部会において十分に検討されたものであると考えます。
問:その検討自体が実態と合っていない。今の格差社会で低所得者と生活保護世帯を比べて何の意味があるのか。むしろ生活保護世帯が置かれている実態を見る必要がある。
8月23日~24日に名古屋で行われた生活保護議員研修会に参加した際、生活保護受給者から話を聞いた。夫の多重債務が原因で離婚した4人のお子さんを持つお母さんは、生活保護を受けるまではパンの耳で命を食いつなぎ、生活保護を受けてからは、将来子どもたちに絶対生活保護受給者にならないように、自分たちでお金を稼げるようにしたいとの思いから、教育を重視し大学まで行かせる事が大事だとしてきた。その学費を貯めるための生活は、冷暖房なし、食事も肉なしのもやし中心の野菜鍋で済ます。衣類は兄弟で当然回してのお古。女の子でもお兄ちゃんの服を「かっこいいでしょう」といって着せた。子供達もそうした実態の中育ち、母親を心配するあまり、部活動も水泳パンツ一枚で済むからといった理由のみで水泳部を選ぶ、妹たちの食費を減らしたくないからという理由で修学旅行に行かないと言い張る兄など、辛くて聞いていられない実態だ。問題はこうした世帯でも今回の減額で月5980円の削減とされ、家族1人の1回分の食事代に匹敵している。これで健康で文化的な生活といえるか。
答:生活保護費の根幹は、家計の中心となる生活扶助費であり、この生活扶助費は食費や被服費など様々な使い道にあてることができる。その他、障害や財産などの扶助をしているので、現在の金額で「健康で文化的な生活」を維持出来ると考えています。
問:規定と実態があっていない。高校進学率一つ見ても全体では97・8%に対し、生活保護世帯は81・8%。この数値だけでも貧困が教育の機会を奪っているのは明らかだ。
ある66歳の独身男性の保護費は月7万3千円、光熱費携帯代を引くと残り6万。短期契約の土木工事をして行くためには朝5時半現場集合の為どうしても車を持たなければならず、その経費を引くと残り3万程度となり1日1000円で暮らさなければならない。しかし生活保護世帯は教育や車と言った当たり前の経費にお金をかけるとたちまち食費を削らなければならないのが実態ではないか。健康で文化的な生活とは、死なない程度に生きると言う意味ではない。人間としての尊厳をもって当たり前と言う意味ではないのか
答:現状の制度の中では、充分な保護費であると考えている。
問:生活保護法2条には「国民誰もが無差別平等」に生活保護を受ける事が出来るとしていますが、これは貧困に至った理由云々ではなく今貧困に陥っている人はまず保護をするという法の原理だと考えますが、いかがでしょうか。
答:無差別平等に受ける事が出来るとは、生活困窮に至る経緯は問わず、保護請求権を認めると解釈しております。ただし、同条前段に「この法律を定める要件を満たす限り」とありますので、保護の決定にあたっては、法第4条に定める「利用し得る資産や働く能力また、他法による給付」の活用という要件を満たす必要があります。本市では、相談者に対して保護制度の説明を行い、制度を理解していただいた上で、保護申請の意志を確認しておりますので、保護請求権は認められていると考えています。
問:本市では相談者が窓口に来た際に、長時間の面談調査を行った後、保護申請という形である。生活保護は無差別平等に受ける事が出来る国民の権利であるから、まず保護申請を受理した上で、申請者への聞き取り調査、他法他施策の活用を検討すべきだ。具体的には、貯金があるかないかとは後で調査すればいい事であって、仮にあった場合は生活保護は認められませんよと、申請を受けた上で説明すれば問題ないと思うが実際はそうなっていない。プライバシーに関わる面談途中で辛くなり、諦めてしまって申請の意思を示すことなく帰る人もあり得る。こういう人は2度と来ない。生活保護申請書をまずカウンターに配架し書いてもらう事から始めるべきだ。それが法の原理ではないのか。
答:窓口に来る人は、事なった課題をそれぞれもっており、まずはその内容を聞くなかで、生活保護申請に至る前に、住宅手当の支給やハローワークの紹介など、別の方法で解決する場合もある。聞き取りの中で申請の意思を含めて十分に話を伺う中で、保護申請に値するとなればそういう対応をしている。
問:現場で対応しているケースワーカーの人員は、現状の複雑化、多様化している福祉の分野で足りていると考えているでしょうか。
答:ケースワーカーひとりが対応できる被保護世帯の数は80件が適正だとされています。
本市では、スーパーバイザー、いわゆる査察指導員1人、ケースワーカー5人、生活相談支援員2人、就労支援員1人、危機管理アドバイザー1人、計10人の体制で生活保護業務を行っています。
特に、ケースワーカーは、適正とされる基準人員である3人に対し、5人を配置しており、かなり手厚い相談支援体制を敷いております。
現在、生活苦や失業など処遇困難な事例も増加しているため、定例のケース診断会議等を行い、ケースワーカー個々でなく組織として公平に判断し、援助できる体制で対応しております
問:生活保護を扱う自立支援課職員の昨年度の残業時間数と67課中何番目に多いか。
答:1人当たり年間315時間であり4番目に多い
問:他市と比べて手厚い状況はその通りだが、複雑化多様化する福祉行政に追い付いていけない現状があるのではないか。増員や分業等負担軽減を図るべきではないか。
答:すでに、自立支援課内部で、事務担当とケースワーク担当と、区分けして対応してはいるところですが、さらに本年度は、自立支援課をモデルとした「業務改善隊」というプロジェクト・チームを庁内に作りまして、業務の分析や改善の取り組みを行っているところです。いただきましたご提案も含め、検討してまいりたいと考えております。
問:標題にも上げた通り、今生活保護は岐路に立っております。一方で、保護費削減に賛成する声も多くあります。これは国民の多くが生活が大変なのに、生活保護世帯は何にもしていないのに税金をもらってという感情からきているものだと思います。
しかし、生活保護制度の改悪は全ての国民に向けられた制度改悪です。
なぜなら保護基準は、住民税非課税や就学援助基準などは生活保護基準である「生存権保障水準」(ナショナルミニマム)に則しているからです。保護基準額減額は生活保護世帯だけにとどまらず、様々な世帯に影響していくのです。介護、国保の保険料や保育園保育料なども関連していますが、3年後の引き下げ金額の場合で各制度においてどれだけの世帯に、どの位の影響があるのでしょうか。(現段階で判明できる範囲でかまいません)
影響ある世帯には、格段の措置を取るべきだと考えますが、いかがでしょうか。
答:国では平成25年度予算の成立に合わせ、厚生労働事務次官通知を発出し、生活扶助基準の見直しに直接影響を受ける国の他の制度については、それぞれの制度の趣旨や目的、実態を充分考慮しながら、できる限り影響が及ばないよう対応することを基本的な考え方とするとしています。
本市における、他制度への影響については、市県民税非課税世帯を対象とする減免や援助に関しましては、個人住民税非課税限度額について来年度以降の税制改正において対応することとされておりますので、現段階での影響は不明です。
生活保護世帯を対象とする減免や援助に関しましては、8月の生活保護基準の引き下げにより保護廃止となった世帯はなかったことから影響はありません。これらには介護保険利用額の軽減、保育料の減免と就学援助の一部が該当します。
また、生活保護基準額を準用し免除対象とする介護保険・国民健康保険・後期高齢者医療の保険料につきましては、免除非該当に切り替わる等の影響はありませんでした。
就学援助につきましては、本年7月30日付けで文部科学省より、生活保護基準の見直し前の基準をもって判断するよう通知が出されており、本市でも同様の対応をしておりますので、影響はありません。
以上のとおり、現段階では保護基準の引き下げによる本市各施策への影響は皆無であったことから、影響のある世帯に講ずべき措置については検討しておりません。
問:生活保護受給決定までに最低でも14日かかります。支給日となればその次の月の5日です。その間、数千円しかない相談者も多くいます。つなぎ資金貸付や柔軟な急迫保護の対応が必要だと思いますが、いかがでしょうか。
答:生活保護が決定した場合には、翌月5日の定例支給日での支給でなく、決定し次第、随時、臨時保護費を支給しております。
また、支給決定までの生活支援につきましては、急迫保護の必要に応じ、市社会福祉協議会での緊急小口資金の貸付窓口を紹介したり、乾パンなどの食料を供与するとともに、NPO法人が行っているフードバンク事業の活用や、生活資金法外援護費の支給等により、柔軟に対応しております。
問:生活保護から脱する就労支援について、新たな新法制定の流れもありますが、無理のない働き方作り(いわゆる中間的就労)や、居場所つくりなどの取組みで、就職へ向け段階的にステップアップしていく仕組みが求められていると思いますが、いかがでしょうか。
答:長期間の失業やひきこもり、また精神的に不安定な状態にある方等、一般就労に直ちに就くことができない人に対して、その人の現状に応じた柔軟な働き口である中間的就労は、一般就労を目指す上できわめて必要性が高く、まずはその受け皿づくりが重要と言えます。
今秋の臨時国会に再提出が予定されている「生活困窮者自立支援法案」には、就労訓練事業として社会福祉法人、NPO法人、営利企業等の自主事業により、軽易な作業等の機会の提供と併せ、就労支援担当者による一般就労に向けた支援を実施する、中間的就労を基軸としたメニューが示される予定でありますので、本市においても積極的に対応していきたいと考えております。