貯蓄ゼロなのに 2000万円貯めておけ!
金融庁報告書「年金これから下がる」
5月22日付で金融庁がまとめた報告書が波紋を広げています(高齢社会における資産形成、管理報告書)
「公的年金の水準が当面低下することが見込まれていることや退職金給付額の減少により、成り立たなくなってきている。」「重要なことは(中略)老後の生活において公的年金以外で賄わなければいけない金額がどの程度になるか、考えてみることである」「少子高齢化により働く世代が中長期的に縮小していく以上、年金の給付水準が今までと同等のものであると期待することは難しい。今後は、公的年金だけでは満足な生活水準に届かない可能性がある」等々…
さらに「平均的な高齢夫婦の無職世帯では毎月の赤字額が約5万円」とし、その先20~30年生きた場合の不足額が1300万~2000万になると計算。結論は「老後は年金に頼るな」「若いうちから2000万を貯めておけ」と迫る内容です。
日本ほど少ない給付額、高い保険料で過酷な年金制度を強いている国はありません。しかもこれまでの自民党政権は「100年安心年金プラン」(小泉政権)はじめ現役世代の手取り収入に対する年金の給付水準50%を100年維持する(安倍政権)など「公的年金は大丈夫」とPRを展開してきました。国民の批判がでるのは当然ですが、これこそが安倍政権の本音ではないでしょうか。
お金がない人は対象外…金融庁
安倍政権の元、若い世帯で貯蓄ゼロ世帯が急増しています。(上図)働いても低賃金な非正規雇用が大半を占め、消費税増税、異常に高い教育費などの支出増が影響しています。日々の生活を維持するだけで必死なのに、どうやって2000万貯めろというのでしょうか。
日刊ゲンダイが“投資に回す余裕のない世帯はどう努力するのか”と訊いたところ、金融庁の市場課は「そもそも、お金を預けられない人は対象外」という信じがたい回答を寄せています。つまり、生活がカツカツな国民は、高齢化社会対策の議論において、そもそも無視されているというわけです。