大手メディア やまない首相との高級会食
安倍首相と大手メディア幹部との会食がとまりません。大手5紙、在京テレビトップからはじまり4月に入ってからは、曽我豪朝日新聞政治部長、小田尚読売新聞論説委員長、田崎史郎時事通信解説委員らが永田町の高級中国料理店で会食。翌日には、大久保好男日本テレビ社長が東京内幸町の帝国ホテルの宴会場で会食しています。
欧米ではありえない!
会食はいずれも2時間から3時間に及んでいます。高級割烹やフランス料理などを舞台にした大手メディア幹部との会食は表のとおりですが、報道関係者との会食も赤坂の日本料理店1月10日、赤坂の会員制クラブ3月13日にそれぞれ行われています。
ある大手記者OBは「社長から局長、部長へ。部長からデスク、キャップへと会食作戦はエスカレートするかもしれない」と指摘。「こうした会食は割り勘ではないだろう。ジャーナリズムの世界では”おごってもらったらおごりかえせ”とされている。安倍首相にどうおごり返すのだろうか」と語っています。
安倍政権が誕生して100日たった4月4日「朝日」は「点検100日安倍政権」という連載を1面トップから開始、その検証すべき対象と政治部長が会食、懇談しながら影響はないのでしょうか?
政治の最高権力者が何の政治的意図も持たずに接触を求めるはずはありません。欧米ではメディア経営者は政権トップとの接触を控えるのが不文律です。
門奈直樹さん(立教大学名誉教授、メディア研究者)の話
消費税増税の大キャンペーンを張る裏で時の最高権力者と会食し、自らの利益を守る新聞への軽減税率導入を図るなど、日本のメディアは異常だと思います。
英国では首相とメディア幹部が会食することはまったくない。そんなことをしたら独立性を失うからです。イラク戦争時のBBC(英国放送協会)会長は、就任前はブレア首相(当時)とふんけいの間柄でしたが、会長就任と同時に首相からのBBCへの注文を全部暴露しました。それぐらい権力に対して毅然としています。
欧米のメディア界にはウオッチドッグ(権力を監視する番犬)という言葉があります。今の日本のメディアは、誰にでも愛嬌をふりまくプードルになっています。戦前、権力との妥協の所産として「不偏不党」の用語を使って権力にこびた歴史が日本にはあります。それと似た状況が出てきています。
しんぶん赤旗 2013/4/11 記事より作成