集団的自衛権容認への安倍政権”ごまかし”の過程
「限定的」「必要最小限度」と国民を騙して進める手法
政府は7月1日に集団的自衛権行使容認の閣議決定をしました。「海外で武力行使しない」という憲法9条の解釈を変え、海外で無限定の武力行使を可能にするため、安倍政権は国民だましの手法を取ってきました。その全過程を検証します。
安保法制懇「結論ありき」の会合
最初に着手したのは私的諮問機関である「安保法制懇」に諮問させることでしたが、実態は委員すべてが首相と同じ考えを持つメンバーで構成された「結論ありき」の会合でした。予想通り、集団的自衛権行使も多国籍軍参加に道を開く集団安保も可能とする報告書を5月15日提出しました。
首相会見…ありえないケースで国民を脅す
報告書を受け取った首相は、ただちに記者会見を開き、邦人を乗せた米艦防護などのイラストを掲げ「国民の命を守る」と力説。しかし、避難するのにわざわざ米艦を利用するなど、まずありえないケースを並び立てて国民を脅しつけるやり方を繰り返し行いました。
与党協議…密室・内容非公開
5月20日から始まった与党協議、内容は完全非公開。国民が国家を縛る憲法の解釈を議論しているのに、国民を排除しての「密室協議」に終始してきました。
その中で、集団的自衛権以外にも重大な提案がなされています。最たるものは自衛隊の「戦地」派兵を大幅に拡大したことです。従来は海外派兵しても「戦闘地域で活動しない」という歯止めがありましたが、これを撤廃し銃撃戦が行われているような「戦闘現場」でなければ戦闘地域での活動を可能とする「3基準」を打ち出しました。
安倍政権の弱さの表れ
戦後60数年間続いてきた憲法解釈を一片の閣議決定で変えようとする安倍政権。それ自体重大ですが、国会に一切の説明をしないまま自公の密室協議に諮り内容も公開しないやり方しか取らざるを得ないのは、本来の野望である憲法9条の明文解釈も、改憲手続きの緩和も国民の反対で挫折、解釈改憲に踏み切るしかないからです。これはまともに国会議論を乗り切る自身がない安倍政権の弱さの表れです。2014年6月30日 しんぶん赤旗記事を元に作成