ウソと偽りで共謀罪国民に押し付けの実態
現行法で対処可能な「テロ等準備罪」
政府は共謀罪ではなく「テロ等準備罪」といいます。その理由として①これまで何人か集まっていれば共謀罪だが、今回は犯罪を目的としている集団に限定②共謀に加えて準備行為がなければ逮捕できない・・2点を挙げています。
まず①の対象ですが、政府説明ではテロ組織、暴力団、薬物密売組織の3つに限定としています。しかし、日本共産党の藤野衆議院議員の質問に対し「それ以外のものも含まれる場合がある」(金田法務大臣)(2日の衆議院予算委員会)、また何がテロ組織かという定義は「国際的に決められた定義はない」(岸田外務大臣、同日)と答弁。民進党の質問に対して振り込め詐欺集団もテロ組織の対象と見なすと答えています。
結局、テロ組織の定義を明確に出来ずに法案が通れば、捜査機関の考え方次第で処罰対象とされる危険性を否定できません。さらに捜査に当たっては盗聴を用いる事を否定しませんので、処罰されなくともあらゆる集団が捜査機関の盗聴の対象となりかねません。
何が準備行為かも無限定
政府は②について、共謀や合意だけでは処罰されず犯罪に対する「準備行為」が処罰対象だとしています。しかし、何が準備行為なのかも無限定。安倍総理も「新たな未知のものでも準備罪で処罰できる」と答弁しています。捜査機関が危険だと判断すれば処罰の対象となるのです。何が犯罪で刑罰の対象となるのかを予め法律で定めるのが刑法の大原則(罪刑法定主義)ですが、それを根底から覆すものです
共謀罪創設は187国中2か国だけ
政府説明の一つに、国際組織犯罪防止条約の締結を挙げますが、この条約はマフィアなどの経済犯罪対処が目的とされるもので、同条約を結んでいる187国中国内法で共謀罪を整備したのはノルウェーとブルガリアの2か国のみ。日本は既にテロ防止関連の条約を13本も締結し、57の重大犯罪に対しては未遂以前の「準備」段階で処罰対象としています。ここにも共謀罪新設の理由は見られません。2017年2月第2週の記事