オールジャパンと言いながら 復興増税:大企業は廃止・庶民は継続
消費税増税と一体で大企業バラマキ
政府は消費税増税に伴う経済対策に、復興特別法人税の前倒し廃止を盛り込もうとしています。消費税増税で国民から吸い上げる一方で、大企業には震災復興の税負担すら免除するやり方に「復興は半ばなのに、大企業だけに空前のバラマキは許せない」と批判の声があがっています。
復興特別法人税は、震災の復興に充てるために12年度から3年間の期限付きで上乗せ徴収しているもの。今、検討されているのは、14年度末の上乗せ終了予定を1年前倒しして13年度末に特別税を廃止すると言うものです(図参照)
復興財源は、企業への課税の他、所得税と住民税が増税されています。所得税は25年間、住民税は10年間上乗せされます。スタートの段階から、庶民負担が企業より重くなっています。それを消費税増税による景気悪化対応としての大企業減税の実施は、大企業を二重三重に優遇するものです。
法人実効税率は震災前よりむしろ下がっている。その上、さらに減税とは?
法人税は、赤字の企業には課税されませんので、被災地で懸命に頑張っている大半の中小企業に減税の恩恵は全くありません。
震災復興財源は、11年12月に成立した復興財源確保法に基づいています。個人、企業から幅広く徴収する事になったのは、財源は「今を生きる世代全体で連帯し、負担を分かち合う」(野田首相・当時)という考えからです。経団連も、当時は「経済界としては、オールジャパンで復興を支える観点から、法人税に一定の負担を分かち合う事を否定するものではない」としてきました。
復興特別法人税は、恒久的な法人実効税率の引き下げとセットで実施されました。法人実効税率を5%引き下げると同時に、法人税額の10%を復興特別税として上乗せ徴収するという形になっています。企業にとっては、実質負担は震災前よりむしろ下がりました。
加えて、安倍政権は「近い将来に法人税を5~10%軽減」することを検討しています。庶民には復興増税(所得税・住民税)を続け、さらに消費税増税を押し付けておきながら、大企業には二重三重の減税。「企業が最も活動しやすい国」を目指すアベノミクスの本質がこんなところによく表れています。
(しんぶん赤旗9月16日記事より作成)2013/9/24