全国一律の最低賃金実施で静岡県の人口流出を防ごう
地域間格差が拡大
7月31日、中央最低賃金審議会(厚労省の諮問機関)は19年度の最低賃金の目安額を決めました。今後この目安を基に各都道府県で議論し、10月をめどに改定されることになります。
全国的には27円の引き上げとなりましたが、静岡県と近隣首都圏との差額はさらに拡大しました(東京都と128円、神奈川県と126円の差)。
この格差は静岡県の人口流出の大きな原因です。どこで買い物しても値段はほぼ同じなのに、住んでいる地域で賃金に差があれば高い地域に住む事になり、首都圏と近い静岡県は特にその影響を受けます。首都圏に進学した県内の学生はそのまま首都圏に就職し故郷に帰ってきません。人口が増加している藤枝市もこの点は同様です。
最低賃金をあげる事は大事ですが、それと同時に全国一律の最低賃金を実施しないと、地域間格差は開く一方で地方の過疎化は進むばかりです。
社会保険料の事業者負担軽減で1500円に
最低賃金をあげるにはそれを支払えるように中小企業への支援が不可欠です。日本共産党は、社会保険料事業主負担を軽減のため年7000億円の国費を投入する事を主張しています。これにより1000人未満の全ての企業で1000円の最低賃金が実現します。この措置を3年続ければ1500円に近づける事が可能です。
日本の中小企業支援策は「業務改善助成金制度」しかありません。これは事業場内最低賃金を一定額以上引き上げ、生産性を向上させるために設備投資(機械設備、POSシステム等の導入)を行った際に、その費用の一部を助成する制度ですが、2011年度の予算は39億でしたが、2019年度は7億円と5分の1へと縮減されています。中小企業1社あたりわずか200円の助成でしかありません。
米国では2007年から最低賃金を41%引き上げて540万人の賃上げを実施した際、8800億円の中小企業支援を行いました。最低賃金を引き上げるには中小企業への支援を行わない限り、実施するのは不可能です。