計画しただけで逮捕される共謀罪、政府説明のごまかし
先週、衆議院法務委員会で強行採決された「共謀罪」安倍内閣が法成立に必要だとしている「3大決まり文句」を検証します。
① 「テロ対策だ」
安倍政権は「国際組織犯罪防止条約(TOC条約)」に日本も加入するため必要と言います。しかしこの条約の対象は経済犯罪対策(マフィアなど)であり、2000年に条約が出来た時日本政府は「テロを対象とすべきではない」と今と逆のことを主張しています。TOC条約にテロの文字はどこにもなく、政府原案にもテロの文字はありませんでした。(指摘され後から“テロ等”と追加)
② 「組織的犯罪集団が対象で、一般人は対象外だ」
「組織的犯罪集団」かどうかは捜査当局が判断します。判断するまでは当然「捜査」されますので、結果「シロ」でも全ての一般人団体が盗聴、尾行、監視などの捜査の対象となります。
暴力団は表面上「一和会」「山口組」等名乗っていますが犯罪集団と認定されます。これは、犯罪歴のある構成員が一定割合いるなど客観的な判断基準が示されているからこそ。「組織的犯罪集団」の基準は何も示されていないので、捜査当局の判断次第でどんな団体も対象とされます。
③「準備行為を以て処罰する、内心は処罰しない」
安倍政権は「犯罪を起こそうかな」と考えるだけでは処罰せず、その「準備」をして処罰すると言います。でも「準備行為」とはどんな行為なのか定義は全く示されていません。
日本共産党の仁比議員は、桜並木を歩いている人が「花見」か「犯罪の下見」(準備行為)なのか違いをどう区別するのかと質問すると「ビールと弁当を持っていれば花見で双眼鏡と地図を持っていれば下見」(金田法務大臣)と答弁。この程度の規定で「歯止め」になる事はありません。4つ全部持っていたらどうなるのでしょうか?
安倍政権の狙い
戦争法、原発再稼働など、安倍暴走政治に対し「ママの会」「シールズ」など市民団体が声をあげています。安倍政権はその声が大きくなることを非常に恐れていて、弾圧に乗り出しています。しかし皮肉なことに共謀罪をすすめようとすればするほど、日弁連、ペングラフ、ジャーナリストなどあらゆる団体が「物言う市民」として声を上げています。極右の漫画家として知られる小林よしのり氏も「市民が声を上げる機会を保障するのは民主主義の要諦だ」と国会で表明し共謀罪に反対するほどです。2017年5月第4週の記事