原発を止めると電気が大変??
メディアでさんざん言われています。本当に大変か?実はまったく大変ではありません。メディアが垂れ流す情報は正確ではありません。
浜岡に関する静岡新聞の記事です。5月8日は中電が一時停止を決定する前日ですが、その記事は「停止すれば電力需要がピークとなる夏場に供給力が不足する恐れがあり…(中略)…慎重に見極める」とあり、中部電力の電力供給力としてグラフがかかれています。
このグラフをみますと水力と火力での供給力は合計で2639万KW、それに対し需要のピークは過去最大(2008年8月)で2821万KWであり、原子力の360万KWがなければ対応できないとされています。これでは、やっぱり原発がなきゃ無理ですよね?
しかし、この表は実態にそくしていないものであり、比較の対象にはなりません。
よくみますと、中電の”電力供給計画”から作成とあります。つまりこの表は、あくまでも中電が自分に都合のいい考えで作っている、将来の理想としての電力供給計画にすぎないものであって、実際の発電能力ではありません。
もうすこし具体的に言います。
水力+火力供給力2639万kwという数値はどこからでてきたのか?
中電の電力供給計画というのは、火力・水力・原子力すべての発電能力2999万kwから、それぞれの構成比を描いた計画です。経年的に計画が作られていますが、2011年はそのうち石炭・LNG・石油を合算した火力発電の構成比を69%とし(2999×0.69=2069)水力を19%として(2999×0.19=569)その合計が2639なのです。
右の図は中電の実際の発電能力で、青が水力・赤が火力・黄色が原子力。その右のピンクの棒は、静岡新聞にもある2008年夏の過去最大需要量2821万kwです。
現在、休止している水力・火力発電の運転を再開すれば、水力521万kw+火力2390万kw 合計2911万kwとなり原子力の350万kwなくても2821万kwは十分まかなえるのです。
実態に即した現実の発電能力から検証するべきなのに、なぜわざわざ実態にそくしていない供給計画から計算してまで表にして紙面に載せるのか?静岡新聞社にメールで問い合わせしてみましたが返答はありませんでした。
しかし、普通のご家庭なら記事のような表を見せられれば、「やっぱり原発がなきゃ電気が心配」となるに決まっています。
その後の紙面(5月24日)でも「火力発電増発も”安定”には不足」と、先に用いた供給計画の表を使って記事にし、脱原発反対論を煽っています。
メディアは、企業に都合のいい記事を載せるのではなく、実態にあった情報で報じる姿勢が大事なのではないでしょうか?