10年間で大企業・内部留保90兆円増・労働者賃金50万円減
資本金10億円以上の大企業が保有する内部留保(連結ベース)が266兆円に達しています。前年度にくらべて9兆円もの増加、大企業は「国際競争の激化」「歴史的な円高」などと危機感をあおりながら、賃金引き下げ・非正規雇用化といった労働者の犠牲で着実に利益を積み上げています。
大企業はリーマンショックを口実に大規模な派遣切りを強行した2008年度でも241兆円、09年度も257兆円と着実に内部留保を積み増し、10年前に比べると90兆円も増やしています。
それに対し、民間企業の年間平均賃金は2000年の461万円から2010年には412万と約50万円も減少しています。
日本経団連は、内部留保は生産設備や在庫などで保有されているとして、賃上げや雇用増にむけた活用をしようとしませんが、現金や預金などいつでも使える手元流動性資金は上場企業で60兆円にも達しています。
その中でも一番莫大な内部留保を持っているのがトヨタ自動車、前年度より5874億円増の13兆8630億円にもなりました。そのわずか1%を活用するだけで4万6千人もの雇用(年収300万円)を生み出すことができます。また、トヨタの正規雇用労働者31万8000人、非正規雇用労働者6万6000人に対し、月1万円の賃上げを実現するには、なんと0・47%の内部留保を取り崩すだけで可能なのです。
そろそろ春闘の季節、日本経団連は1月23日、経営側の春闘方針である経営労働政策委員会報告「危機を乗り越え、労使で成長の道を切り拓く」を発表しました。
そこには「激化するグローバル競争に勝ち抜く企業づくり」を声高に主張し、労働者の賃上げについては「ベースアップの実施は論外」と拒否。1%の賃上げを求める連合の低額要求すら「企業の危機的な経営環境に対する認識が甘い」と切り捨てています。
毎年、自動的に昇給する仕組みである定期昇給について「実施を当然視できなくなっている」として「延期・凍結も含め、厳しい交渉を行わざるを得ない」と主張。賃金の個別化を図り、「仕事・役割・貢献度を基軸とした人事・賃金制度を構築する」とし、正規労働者に対する賃下げにふみこもうとするねらいを語っています。
しかし266兆円にも及ぶ内部留保には一言もふれていません。
そんな財界べったりの政治のあり方が、改めて問われていると思います。
(2011/1/25)
※しんぶん赤旗1月17日付記事を参考に作成