司法は生きていた!大飯原発再稼働差し止め裁判(福井地裁の画期的な判決)
原発は「人格権」侵害と明快に位置づけ
福井県内外の住民189人が関西電力大飯原発3・4号機の再稼働差し止めを求めた訴訟で、福井地裁(樋口英明裁判長)は、21日、2基について「運転してはならない」と言い渡しました。2011年の福島事故後、原発の運転差し止めを命じた判決は初めてです。
電力の安定供給やコストの問題を”てんびん”にかける関電主張を厳しく退ける
裁判長は、人の生命を基礎とする人格権(憲法13条)を最も重視し「これを超える価値を他に見出すことは出来ない」とし、住民らの人格権と電力安定供給やコストを比較する関電の主張を退けました。
また「国富の喪失」とは、関電の主張である運転停止による貿易赤字ではなく「豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活する事」を失う事であり、福島の事故でそれが具体的に示されているとして大飯原発の再稼働を認めないと判決しました。
裁判所が判決を避ける事は「裁判所に課せられた最も重要な責務を放棄する」とも(福井地裁)
判決は原子力発電がもたらす危険性と被害の大きさは福島事故で自明であり、同事故を受け、同様の事故の具体的危険性が万が一にもあるかの判断を避ける事は「裁判所に課せられた最も重要な責務を放棄するに等しい」としました。
また地下で起こっている地震現象について「仮説や推測に依拠せざるを得ない」「正確な(地震の)記録は近時のものに限られる」と指摘。この10年足らずにも原発が想定を超える地震動に襲われた事例が5ケースある事実を重視。「自然の前における人間の能力の限界を示すもの」と関電の地震等の想定も不十分としました。
また冷却機能喪失の危険性や使用済み核燃料貯蔵プールの脆弱性も指摘し、大飯原発から250キロ圏内の住民は運転によって人格権が侵害されると述べています
原発差し止め訴訟で住民が勝訴したのは金沢地裁で志賀原発運転差し止めを命じた2006年以来、福島事故後では初です。
原発再稼働の中止を
現在、全国では原発の運転差し止めを求める訴訟が10数箇所で起こされており、私も浜岡運転差し止め訴訟の原告団の一員として闘っています。
全国で48基ある原発は現在全て停止していますが、そのうち18基の原発について電力会社は規制庁に再稼働を申請しています(浜岡4号機も申請中)
憲法に定められた国民の人格権を守る立場で示された今回の判決は非常に勇気を頂くものです。原発は人類と相いれません。再稼働を進める安倍政権と電力会社の横暴をこの判決を期に追い詰めていきましょう。
2014/5/26 (しんぶん赤旗5月22日記事を基に作成)