尖閣・北朝鮮核ミサイルで集団的自衛権行使。根拠なし
中国や北朝鮮が怖い。安倍政権はそんな国民感情につけこんど「だから集団的自衛権行使が必要なのだ」という雰囲気づくりをしています。
しかし、これらはちょっと冷静に考えれば、何の根拠もない虚構です。
尖閣問題は警備活動で対応できる問題。集団的自衛権行使とは何ら関係のない問題
尖閣諸島での中国公船による日本の領海侵犯や、中国機の領空侵犯が連日報じられています。これらの挑発行為は決して許されるものではありませんが、これらは武力攻撃ではありません。
集団的自衛権とは「日本防衛」のことでなく、密接な関係のある他国が始めた武力行使に日本が参加する権利の事です。今の中国が行っている事に対応するために「集団的自衛権の行使を容認する」ことで初めて対応可能になる話ではなく、海上保安庁の警備活動を強化すれば対応できる話です。(尖閣に関する共産党の見解はこちら)
自衛権行使を容認して尖閣問題で日本が初めて対応が可能になるケースは「中国が米国を武力攻撃し、米国が日本に救援を要請」した場合です。ただ、こんな事例はまずありえません。
米中はお互いに警戒しつつ、建設的な「新しい大国間関係」を望んでいます。軍当局同士の「ホットライン」も開設しており、軍事衝突を避けるための対話を続けています。
逆に、米国内には、日中間の争いに巻き込まれる事の懸念から、日本の集団的自衛権容認に慎重な意見があります。
北朝鮮核ミサイル攻撃は、ほとんど不可能と言うのが専門家の一致した見方
集団的自衛権行使などを協議している与党会合が政府に示した15事例中、7事例は北朝鮮の動向を想定したものです。北朝鮮が韓国に攻め込む「朝鮮島半島有事」や弾道ミサイルによる米本土への攻撃などです。ただ、これらの事態は、北朝鮮の軍事的・経済的な状況から見て不可能であることは専門家の一致した見方です。
世界最強の軍事力を持つ米国に攻撃を仕掛ければ、どれだけ甚大な報復を受けるかはだれが見ても明らかです。国家として、そんな攻撃を仕掛ける国が今の世の中にあるでしょうか?しかも、日本への攻撃は「個別的自衛権」で対応すればいい事です。わざわざそのために集団的自衛権を容認しなければならない理由はありません。
紛争やトラブルを戦争にしないために取り組む、外交努力が必要ではないか?
北朝鮮の核ミサイルや拉致問題などは、6か国協議と言う場が設けられ外交交渉で解決する事で日本を含めた関係国が一致しているのですが、日本は実行していません。世界中を飛び回っている安倍首相も、肝心の中国には訪問する関係すら作れません。
日中間、日朝間だけでなく、世界のどの国でも隣国との間で宗教や民族等、様々な紛争やトラブルがあります。そうした問題を外交で解決し、戦争にしていかないのが常識です。ところが日本は相手の挑発に対し、まともな外交ビジョンすら持たず「軍拡だ」「憲法改正だ」としか応じられない。これでは問題は何も解決しません。
人口も多く、経済活動も活発な北東アジア地域で戦争になれば、世界に与える影響は計り知れません。日本は憲法解釈を変えて軍事での脅しをかけるより、憲法の平和主義にのっとって外交交渉をリードしていく役割こそ求められている事ではないでしょうか? 2014/5/30