シリーズ消費税その6
消費税増税で藤枝市立病院2億円の負担増
消費税増税の害悪は国民だけでなく、医療機関にも及びます。
公的医療は「高度の公共性を持つ」という観点から、医療費にかかる消費税は非課税扱いとされています(一部、個室使用料などは例外)
しかし、医療機関は設備投資や医薬品などの物品購入、高額医療機器の購入時には消費税を支払っています。その分は患者に転嫁するわけにいきません。
診療報酬(医療行為に対して病院に支払われる報酬)でも全てが補償されない事は、6月6日に行われた国会質疑で日本共産党の佐々木憲昭議員が明らかにしました。
消費税増税は自治体財政をも崩壊させます
結局、その分は医療機関が”持ち出し”になり藤枝市立病院の場合は22年度決算で2億強、今の倍になった場合更に2億強の負担がのしかかる事になります。
病院の他にも、例えば自主運行バス。藤枝市は静鉄などに委託料を支払って運行していますが、10%になった場合、ほとんどのバス会社は運賃に転嫁できません。その場合委託費の値上げを要求され更に財政負担が増加、また市は様々な公共工事を行っており、例えば耐震工事を実施する市立会館の工事費は当初6億円ですが、これにも当然消費税がかかります。5%で3000万円、10%になれば6000万円。その分はどこにも転嫁できません。
かえって税収減を招いた1997年の5%増税
現在の消費税5%のうち、1%は地方分とされており藤枝市の場合は約11億円が毎年税収となっています。この制度は、消費税が3%から5%へ引き上げられた1997年に始まりました(1997年以前の3%時代は地方への消費税交付はありませんでした)
しかし、地方への交付がはじまった1997年を境にして、それまで62億円程度あった市民税(所得割)がどんどん減収となり2004年には52億円にまで落ち込んでしまったのです。市民税の所得割は、所得の多寡によって納税額が決まります。増税によって、個人消費が落ち込み全国的な景気後退を招いた結果、税収減を引き起こしたのです。
藤枝市も、消費税交付金で「せっかく」増収となった約11億円が、その消費税によって招いた景気後退で吹き飛んでしまった。残ったのは、庶民への増税だけです。
2012/7/2