歯止めにならない「新3要件」
日本が攻撃されていなくても武力行使が出来る
今月から国会で審議が始まる一連の戦争立法、国民の過半数が今国会での成立を望んでいない中、安倍政権は「新3要件」を新たに条件に加えた事で”歯止めになる”としています。
新3要件とは、集団的自衛権行使に加えた新しい3つの要件(左図)、その最大の問題は、日本に対する武力行使がなくても「国民の権利が根底から覆される明白な危険」があれば、日本の自衛隊も参戦出来るとされている事です。
「日本に対する武力攻撃がなければ武力行使は行わない」と半世紀とり続けてきた日本政府の立場を大転換するものです
ペルシャ湾の機雷除去でも「明白な危険」時の政権の裁量でいかようにもOKとされる。
これまでは「日本に対する武力行使の有無」と明確な判断基準がありましたが、これからは「明白な危険」に該当するかどうかが判断基準となります。
この間の日本共産党の国会質問に対し、安倍政権は、たとえばペルシャ湾の機雷掃海なども可能と言明、経済的な理由で地球の裏側まで行って武力行使する事もOKとしています。
また、アメリカが違法な先制攻撃の戦争を行った場合でも日本の自衛隊が参戦するのかと言う質問に対しても「個別具体的に判断する」と否定しません。
アメリカはベトナム戦争、イラク侵略戦争など先制攻撃の常習犯であり、結局はテロを解決できなかった事は歴史が証明しています。日本もこれに一緒になって参加する事も可能に。
集団的自衛権は、旧ソ連のアフガン侵略など大国による干渉侵略の口実とされてきました。イラク戦争時、自国は全く攻撃されていないのに集団的自衛権のもとイラクに派兵したイギリスは450人の戦死者を出しています。戦争で犠牲になるのは、安倍総理でもなければ大臣でもない、未来ある若い兵士達です。
「限定」「新3要件」などと、さも新しい歯止めを作って安全性を確保しているようなことを言っていますが、実質は政府の裁量でどこまでも武力行使が広がる立憲主義に反する決定的な憲法解釈の大転換です。