政府の新核兵器政策で、核兵器使用を容認
岸田外相がスピーチ「集団的自衛権として」
岸田外相は1月20日(2014年)に長崎でスピーチを行い、政府の新たな核兵器政策を明らかにしました。来年の核兵器不拡散条約(NPT)再検討会議を見据えた政府の基本方針を示したものですが、ここでは、長年の核兵器廃絶を求める国内外の世論に背を向け、核兵器の使用を日本政府も行えることとするという極めて重要な内容が含まれています。
求められる核の傘脱却
スピーチは「日本は世界で唯一の戦争被爆として…核兵器のない世界の実現に向けて、国際社会の取り組みを主導していく」と述べています。「核兵器のない世界」の実現を求める国際世論が大きく発展するもとで、日本政府もこれを無視する事は出来ません。
ところが同じスピーチで、核兵器は「究極的には廃絶する」と遠い将来の課題とする一方、核兵器全面禁止条約については一言も触れていません。
特に見過ごせないのは、「核兵器の使用を個別的、集団的自衛権に基づく極限の状況に限定する」として核兵器の使用を容認する、つまり、「極限の状況」と判断すれば核兵器の使用が許されるという、これまで以上に危険な立場を表明しています。
国際世論と矛盾深める安倍政権
「スピーチ」では「(核保有国が)非核保有国に対し、核兵器を使用したり、核兵器によって威嚇しないことを約束する」ことも求めていますが、「核軍縮」に積極的であるかのような姿勢をしめしながら、核兵器使用を容認する矛盾「二枚舌」ともいうべき態度は国際的になんら信頼を得るものではありません。
集団的自衛権の行使など、米国と共に「海外で戦争する国」づくりをすすめようとする安倍政権は「核の傘」を含む「日米同盟の元での拡大抑止の信頼性」を高めようとしていますが、被爆国にふさわしい役割を国内外の世論に安倍政権が背を向け続けるならば、その矛盾は一層深まります。
被爆70周年に当たる2015年に開かれる核不拡散条約再検討会議での日本政府の責務は、核使用容認ではなく核をなくすようにしていく事です。