安倍首相が主導する労働時間規制外しとは?
安倍首相が成長戦略の目玉として6月までにまとめる意向の新たな”ホワイトカラーエクゼンプション”「持続的に成長する為、全ての国民が能力を最大限発揮できるよう柔軟な働き方を実現していきたい」(首相)といいますが、実際は際限なく労働者を残業代ゼロで働かすことが出来る仕組み造りです。
メディアからも「働きすぎに歯止めをかける有効な対策は見当たらない」(朝日)「過労死や心の病を減らそうとする社会の流れに逆行する」(東京)「成果を出すことを迫られ残業祭なしで長時間労働する社員が増える」(毎日)など批判が噴出しています。
過労死促進、サービス残業合法化に
安倍首相が検討を指示した具体的制度は2タイプ。高度な専門的知識をもつ「高収入社員型」は年収1千万という要件であれば労働時間規制はほとんどかかりません。
もう一つは「一般社員型」年収要件ではなく、政府が示す基準に基づいて対象者や労働時間の総枠を労使で決めるとしています。いずれも「本人の同意」が条件ですが、企業から「同意」を迫られたら拒否できないのが現実です。どちらも成果主義賃金の為企業の判断で賃金が決まります。
結局、労働者は成果が出るまで際限なく働かされる一方、企業は残業代を払う必要もなくなり成果が出ない社員は簡単に解雇も出来るようになります。これほど企業に都合のいい制度はありません。
「生涯ハケン」「正社員ゼロ」を目指す
もともと日本の労働規制は弱く、労働組合と合意すれば1日8時間を超えていくらでも働かせる事が可能です。過労死の限定ライン(月平均80時間)を超えて残業させても違法にもなりません。その規制さえなくしてしまう事に、過労死や過労自殺で家族を亡くした遺族からは「過労死の無い社会に逆行する」との声が上がっています。
今回の改悪は何百万人規模の労働者が、労働時間の規制の無い世界に追いやられる危険性を抱えています。政府財界は、成果さえ出れば短時間で切り上げられるし、育児や介護に併せて働けるようになるといいますが、人手が足りないのに仕事は増える一方なのが現実です。しかも、今回の制度は成果を上げるために際限なく働くしかない仕組みになっています。
一連の労働規制緩和は、他にも「生涯ハケン」「正社員ゼロ」をつくる労働者派遣法の改悪や、解雇しやすい「限定正社員」制度などにも及んでいます。
2014/5/20