派遣社員を
常用雇用に
衆議院予算委員会(2月20日)で、日本共産党の志位委員長は日本の雇用問題で質問を行いました。
政府はこの国会で雇用を改悪する2つの法案を提出しています。今でも全体の4割近くにまで広がった非正規雇用労働者をさらに拡大する労働者派遣法改悪案、過労死を一層増大させる残業代ゼロ法案です。
前回は残業代ゼロ法案の中身をお知らせしましたが、今回は派遣労働を常用雇用にしようとする労働者派遣法改悪の内容をお知らせします。
日本の雇用形態は、会社と労働者が直接雇用契約を結ぶ「直接雇用」が大原則でした。派遣会社が中間に入る「間接雇用」は通訳など特殊な職種に限られていましたが、小泉政権に成立した労働者派遣法によって、製造業と言った分野にまで幅広く派遣という働かせ方が認められるようになりました。
しかし、現行の労働者派遣法でも、派遣はあくまでも「臨時的・一時的業務」に限り、正社員を派遣に置き換えてはならないということ(常用雇用の代替禁止)を大原則にしています。そのための「担保」として、派遣先企業の派遣受け入れ期間は「原則1年、最長3年」と期限を定めています。それを超えるような業務は「臨時的・一時的」といえないから正社員を雇うべきだという趣旨です。
ところが、今国会に提出している改悪案は、「3年」の担保をなくし、3年ごとに人を入れ替えさえすれば、その事業所でいつまでも派遣を使うことができる仕組みに変えています。労働者にとっては、正社員になる夢を持ち3年間派遣で頑張っても、企業が次の新しい派遣を雇用できるので、違う会社でまた派遣で働かなければならなくなります。厚労省は、3年を超えて働かせる場合は組合からの意見徴収を義務化、派遣労働者のためのキャリアアップ措置を派遣元企業に義務化していると言いますが、労働組合から意見さえ聞けばよく同意は必要なし。多くの労働現場で派遣は正社員と同等の仕事をしており「キャリアアップ事業」など行う必要性などは実態としてありえず、しかもこれで正社員にするという担保はどこにもかかれていません。派遣社員が正社員になれないのは「キャリアの欠如」ではなく、派遣という安上がりな働かせ方を合法化している「政治の欠如」です。