シリーズ消費税その10 維新の会:消費税地方税化は民自公大増税よりも悪い案
大手メディアがしきりと持ち上げる橋下維新の会。次期総選挙の注目の的とか言われています。
消費税は選挙の大きな争点となりますが、維新の会はどういっているか。維新八策”改訂版”には、消費税を地方税化するとあります。
現在の消費税は5%のうち1%が地方分とされ残り4%は国税とされています。これをすべて地方税化にするというのです。地方への税収は総額で10兆円増えることになります。
しかしそれと同時に八策改訂版では、地方交付税を廃止するとしています。地方交付税とは国から地方に支給されるもので総額は23兆円(実質的な交付税とされる臨時財政対策債を含む)そうすると差引13兆円の穴ができます。この穴をどうして埋めるのか?
地方自治体は、ゴミ処理や介護、保育、身近な場所の公共工事等様々な行政を行っており当然それには財源が必要です。自治体には地方税の収入があるわけですが、税収が豊かな東京都とそうではない奈良県などでは税収の差が当然でてきます。
住んでいる地域で受けられる行政サービスに差が出てしまってはいけません。そうした事がないように、日本のどこに住んでいる人にも同等の行政サービスを受けるように出来るようにするために地方交付税は存在しているのです。だからこそ交付税算定基準は、ただ人口とか平均年齢だけにとどまらず、小学生の人数・山間地の面積・燃やすごみ量等々、非常に細かい基準で算定されて自治体に見合った額が支給されているのです(元は、所得税や酒税・たばこ税等です)地方にとってはなくてはならない大切な制度なのです。ただやみくもに国が地方へ支給しているものではありません。
維新八策は、この地方交付税をなくすというのです。
では、なくした後に出てくる13兆円の穴埋めはどうするつもりなのか?
橋下氏は地方税の消費税化した後の税率については「税を上げるか、公共サービスを削るか。それを迫れば住民はきちんと選択する」と述べました。つまり今までと同じ公共サービスを受けたければ増税を甘受するか、それが嫌ならサービス削減を我慢せよと言っているのです。
目新しくもなんともない、小泉構造改革の焼き増しに過ぎない
「総選挙の最大争点にする」橋下氏は地方税化を争点にし、メディアもそれを大体的に報道しています。ですが、地方交付税の削減と消費税の地方税化は小泉構造改革の時から言われていた事。実際、交付税削減は三位一体改革の名の下で行われ、藤枝市でも55億程度あった交付税が20数億にまで減らされました。
地方からの反発で国も交付額を徐々に戻しつつありますが、問題はこんな古びた政策をも”地方からの改革ヒーロー”のような姿で報道する大手メディアの検証力の無さです。
橋下氏が常に唱える道州制、国のやるべきことを防衛や外交に限定して、本来やるべき福祉等は地方に任せようというものです。地方自治体に財源を保障するわけでもないのに、地方自治はどうなってしまうのか?地方の代表のような顔をして地方自治を破壊するだけにすぎない。持ち上げているメディアの責任も大きい。常日頃、地方自治の大事さを考えている私としては怒りを禁じえません。
その陰で…「政党助成金減額」はこっそり削除 ”維新八策改訂版”
今回発表されている「維新八策改定版」で削除された項目があります。
「政党交付金の減額」です。改訂版では「政党交付金の抜本改正」とされました。しかも同時に「地域政党を認める法制度」が併せて提起されました。つまり維新の会のような地域政党も政党として認め、政党交付金を配分せよと要求しているのです。
福祉はぜいたくといい、公務員給与は削減し市民向けサービスには大ナタをふるいながら、自らの政党は税金から分け前をもうらおうという厚かましさ。
「今の日本は満州事変前夜の状況である」持ち上げるメディアのもとで、ファシズムはこういった状況でうまれるのでしょうか。 2011/7/24