シリーズ消費税その5
小規模事業者ほど納税できない不公平税制
消費税は、誰もが公平に5%負担する税制だ。推進派の論理の一つです。
しかし、実際税務署に消費税を納入するのは事業者です。その分は、販売商品に転嫁して消費者からもらっているわけですが、実際価格に転嫁できているのか。
中小業者などが加盟する全国商工連合会などが実施した調査によると、「売り上げが少ない零細業者ほど転嫁できていない」という結果です。
転嫁できずに、自腹を切って納税
大企業は、商品を販売する際消費税分を簡単に転嫁できます(車のディーラーなど、どこでもそうです)しかし、厳しい価格競争の中で商売をしなければいけない小売業者は簡単に消費税を転嫁できません。
また、大企業の下請けの仕事をしている業者は、親会社に「消費税分くらいサービスしなければ、お宅とは取引しない」と言われれば、弱い立場でそれを受けなければなりません。
上の表によると、事業規模によって消費税が転嫁できていない、つまり弱い立場の業者ほど転嫁できていない実態が明らかです。
しかし、消費税は赤字経営だろうが売り上げの5%を納税しなければいけません。転嫁できなかった業者は、結局身銭を切って税務署に納税します。「生命保険を解約した」「子供の将来のための学資資金を取崩し、進学をあきらめてもらった」「なけなしの不動産を売った」「従業員の給料を削った」等々、身を削る思いで納税しているのが実態です。価格に転嫁できる大企業は実質1円も消費税を納めていません。これで、どうして公平な税制と言えるのでしょうか?
雇用人口の7割は中小企業労働者、10%になれば経済の底が抜けかねない
日本の雇用人口の7割は中小企業に勤める人たちです。こうした企業にさらに増税をおしつければいったいどうなってしまうのでしょうか。5月23日の国会で、日本共産党の塩川議員がこの点を政府に問いただすと「ヒット商品を作ればいい」(安住財務相)などと事の本質がまったくわかっていない無責任な答弁でした。
2012/6/16