藤枝市議会・籐新会 代表 舘 正義 様
藤枝市議会の早期正常化を求める申し入れ
2011年5月30日
藤枝市議・日本共産党議員団
大 石 信 生
石 井 通 春
藤枝市議会が去る5月10日の議会運営委員会以来、20日間にもわたって異常事態が続き、市民不在の権力争いで混乱していることに、市民の批判が高まっています。
5月27日には、市長の定例会見があって、そのなかで市長も「早期正常化」を求めると表明されました。このような問題で、市長がこうした発言をせざるを得ない立場になったことは、藤枝市議会として重大に受け止めなければなりません。
今回の事態は、藤枝市議会の威信を大きく失墜させたにとどまらず、多くの市民のみなさんが、藤枝市のイメージダウンにつながると感じ、心から憂えています。
もはやこれ以上の異常事態の繰り返しは許されず、貴会派におかれまして、以下の諸点を真摯に検討され、早期の議会正常化に踏み出されますよう、ここに申し入れるものです。
記
① 議長の任期は、申し合わせで2年と決められています。籐新会では昨年1年と申し合わせたといいますが、それは一会派内の申し合わせに過ぎません。市議会全体の合意にはなっていないのです。地方自治法では正副議長の任期は4年とされており、1年での交代はたらい回しとの批判があります。市議会のルールを無視して、籐新会だけで決めた1年に固執し続け、その申し合わせを根拠にあくまでも議長を辞任に追い込もうとするのは、無理があるのではないでしょうか。
② 籐新会が提出し、市民クラブと公明党の議員が賛成した「議長辞職勧告決議案」には、二つの点で重大な誤りがあります。
1、一つは決議案の提出そのものが、議会運営上、適切でない という問題です。
地方自治制度研究会編『新訂注釈地方自治関係実例集』には、つぎのように書かれています。
「辞職のように、本人の意思により決定すべき事柄については、あくまでも本人の良識と判断に待つべきもので、議会の多数決により辞職勧告を決議し、事実上その辞職を強要するようなことは一種の多数決の原則の濫用ともいうべきもので、事実上の議会の意思表示としても適当ではない」(302ページ) 以上で明確なように決議案は、提出すべきではありませんでした。
2、二つは、辞職勧告決議案では、議長個人の評価がいろいろ述べられましたが、個人の資質や個人の評価をもって、辞職勧告が提出されるのは、適切ではありません。
個人の資質や評価をあげていけば誰にも該当する事柄はあるものです。議長の辞職勧告をする場合は、個人の評価は別として、例えば議会運営で重大な失態があったというような場合など、職責を問う事柄をもって、行うべきです。
また、「池田議長は籐新会の信頼を失ったから―辞職を勧告する」とされていますが、それは一会派内の問題であって、一会派内の理由で議長の辞職勧告決議案を提出することも、適切でないことはいうまでもありません。
③ 混乱のなかで開かれた5月16日の議会全員協議会で、籐新会のある議員が「藤枝市議会は、会派制で議長を決めている」と主張したのは、間違っています。
藤枝市議会の議長は、全議員の投票で決めているのです。全議員の投票で決定している以上、会派の所属がどうなろうと、議長の身分は法的には変わらないのです。
④ さらに多数決で決まった辞職勧告決議に従わない池田議長を「多数決に従わない」議長のもとでは協力できない」、という声が聞こえてきて、それが会議のボイコットにつながっているようです。
しかしこの論理も根拠がありません。議決には法的拘束力を持つ議決と法的拘束力を持たない議決があって、辞職勧告決議というような場合は、法的拘束力を持たないというだけのことです。こういう根拠のない主張で、混乱を長引かせることはやめるべきです。
⑤ 5月13日の臨時議会の課題は、辞表が提出されていた副議長の選挙、各正副常任委員長の交代人事、これらに伴う議会運営委員会と志太広域事務組合議会議員のポストの調整でした。
やろうと思えば1日もかからない課題だったにも関わらず、会期を4日間まで延長したのに、決まったのは副議長と委員長が空席になっていた総務消防常任委員会の正副委員長だけでした。会議は延々と空転を続けました。さかのぼって5月10日の議会運営委員会も籐新会の内部事情で12日に延期されましたが、これらすべての過程が、池田議長を何とかして辞任に追い込むために展開されたと言っても過言ではありません。
一連の過程で示された多数会派の横暴には、一片の道理もないものです。
一刻も早く議会を正常化し、臨時会で積み残した懸案も解決するために努力すべきです。