広報広聴委員会:茨城県大洗町、埼玉県越谷市 2015年8月3日(月)~4日(火)
今回は私が委員長を務める広報広聴委員会です。議会報告会などの取組が主要事業になる委員会です。
初日は茨城県の大洗町、ここは町議会ですが、毎議会、傍聴席が満席になり、インターネット配信は傍聴者が減るから敢えて行わないといえるほど成功しているのです。(全国町議会平均傍聴者数は70名だが大洗町は350名である)県内他の町から議長が傍聴に来るほどです。
具体的な取り組みとしては、議長名でのDM発送、と終了後の礼状発送。また議員自らが組を作ってポスター掲示にお願いに回り、DMの発送作業なども手作りで行っている。議員が動いている姿を町民がそういうところで見ているから増えているのではないかということでありました。それが決め手とは言えないとの事でもありましたが、強いて言えばこの点が評価されているのではないか。
また、一般質問で再質問以降の議員と執行部との答弁調整は一切行わず、それによって、見る側として迫力を感じているのではないかとの事。喧々諤々の議論をするように心がけている。
こうした前向きな取り組みは、8年前の改選時からのメンバーが主導となって実施してきたとの事。その際は、何々委員会を作って話し合って進めるというよりも、やれることはドンドンやろうじゃないかと進め、議員がDM作業をしている様子などが町民の目に触れるようになってくると、結局消極派はやめていったとの事です。
議会運営面では、一般質問は午前中3名の議員のみ。(午後は日によって委員会がある)午後の質問は傍聴者にとっても眠くなってしまう時間なので、その理由から午前に絞っているそうです。また常任委員会は同日に開催しない(大洗町は3委員会)これは所属委員会以外の委員会に議員も傍聴し他の委員会の状況も知るため(傍聴者が質問もできる)藤枝は同じ日に3常任委員会をやるので他の委員会がどういう様子なのか報告でしかわかりません。
その他の点では、市議会だより広報は2色刷りからフルカラーにした。この方が経費が安く済むとか。また各会議に対する議員の出欠状況も掲載している。
また、高校生議会も議長の呼びかけでこれまで2回実施。高校生が議員で議員が答弁者。質問内容は特に限定しておらず高校生に任せている。議員自身もかなり勉強になり、高校生からも継続してもらいたい声が出ている。将来的には大学生にも広げるつもりだそうです。
意外だったのは、狭い町域なので13名議員でも地方にありがちな地域性はあまり関係ないとの事。そのためか会派性はとっていない(公明党、共産党所属各1名の他は無所属)それも進めやすい原因になっているそうです。
本市でも、会派性や議会日程などは難しいかもしれませんが、取り入れるべき点は多々あるものと思います。
2日目は埼玉県越谷市。東京のベットタウンとして急速に発展をする越谷市は人口32万人、議員定数も32名。転入者がぞくぞくと来るので敢えての合併話も出てこない。越谷の自動車ナンバーも作られるなど、都心から30分余の利便性から郊外都市として急成長している都市です。そのため新しい住民が多いので、今年5月の市議選の東京率は39%との事であります。
視察テーマである、学生議会は平成21年11月に会派代表者会議において、議長所属会派の代表から大学生を対象とした模擬議会の実施の提案があり、12月には翌年5月に開催する事を決定した。ただ、年度をまたいだために学生の出席者の点で混乱があり翌年度は開催できなかったが、23年の改選後再度検討し24年度から11月実施で再開する事を決定した。26年度の実施を含めるとこれまで3回実行しているそうです。
越谷市内には埼玉県立大学、文教大学の2大学があり、4月下旬に学生議員を選出してもらうよう依頼。同時に市内在住の他大学に通う学生議員を公募する(選出議員、公募議員各16名の32名※議員定数と同数)6月下旬に学生議員を決定し、質問通告を2か月間で作成してもらうように依頼。議会事務局と質問項目を調整し説明会を経て11月に学生議会を開催。なお、小中学生相手の模擬議会は全国で150弱行われているが大学生対象は珍しいとの事です。
答弁者となる議員は、9月に担当答弁議員を選出し(4常任委員会から4名の16名、1議員が2質問を担当)答弁書を10月に作成し執行部の確認を経て当日に臨む。
質問時間は往復で1議員8分。最初の答弁は執行部の原稿に依拠するようなものになるが、再質問以降は一切調整を行わないのでどういう展開になるか答弁議員も緊張を強いられる。その際は、議員間で異なる意見がある項目でも、議員個人が個の意見を答弁しているとの事。20名前後の学生議員が再質問を行うとの事である。
なお、市長、副市長、教育長も出席するが、あいさつ程度であって答弁は行わないそうで、大学生参加者の感想は概ね良好な感想を頂いている。
課題としては、公募で来てくれる学生が少なく、成人式実行委員などのつながりで来てもらうようにしてなんとか充足している状況だとの事。またこの取り組みによって、投票率の改善につながっている状況がすぐに現れるわけでもない。
現在、藤枝市の広報広聴委員会では検討事項として小学生高学年、中学生を対象とした意見交換会を行う事を進めています。が、大学生との学生議会はまた違う準備(質問通告の作成や議長役を学生が実施する事など)が必要であり、議会が全面的に行う意思があれば本市でも十分実行できるものであると感じました。得るものも多くあるでしょう。